What is リカンベント? |
みなさんは、『リカンベント』という言葉を聴いたことはあるでしょうか?
リカンベントとは、自転車に座椅子や背もたれのついたような、一風変わった乗り物の総称です。
日本では、最近になって書籍やTVで取り上げられる事も増えてきましたが、
まだ変わり種自転車やおもしろ自転車的扱いに留まり、その存在は余り知られていません。
しかし欧米では既にひとつの文化として確立されていて、実際数多くのメーカーから
多種多様かつ個性的なリカンベントが世に送り出されています。
最近では徐々にリカンベントの製作に乗り出す日本のメーカーも出てきているようです。
さて、リカンベントと言えば何といってもその乗車姿勢が大きな特徴です。
リカンベントの言葉通り、「寝そべる・もたれる」格好で足を前に投げ出して乗る独特のポジションで、
そのため従来型の自転車とは逆に水平より上方に向けて視界が広がり、
圧倒的な開放感・爽快感をライダーに提供します。
シートの傾斜角度で大別でき、背もたれの角度が起きているアメリカンタイプと、
角度の寝ているヨーロピアンタイプとに分けられます。
従来型の自転車と異なり背もたれに体を預ける乗車姿勢は、長時間の乗車でも疲労しにくく、
快適性に優れます。またシートで腰が固定される分だけペダルに効率よく力を加える事が出来、
また寝そべった乗車姿勢は空気抵抗の減少にも効果的で、加速性や高速巡航性能にも優れます。
しかしその反面、リカンベントにはその独特の乗車姿勢からくる緊急時初動操作の遅れや、
少ないハンドル切れ角から来る取り回しの悪さなど、短所も多く見られます。
重心より上へのマスの集中が影響して低速域でのバランスが悪く、
従来型の自転車と比べて大きくかさばる車体もあいまって、
機動性の面では従来型の自転車に遠く及びません。
とは言え、リカンベントにとってそれらはさしたる問題ではありません。なぜなら、
汎用性や機動性を必要とするステージでの運用を、リカンベントは重視していないと思うからです。
これは私の私見ですが、リカンベントは「新しい自転車」ではなくて、
「従来の自転車から派生した機能特化型自転車」という方が、的を得ていると考えます。
リカンベントの真価は、その限定されたステージで運用されて初めて発揮される物なのでしょう。
要約すると、リカンベントとは、汎用性や機動性をある程度犠牲にして、
長距離移動における高速巡航性能と、疲労の軽減・高効率化・快適性の確保を
追求し、ロングツーリングや高速巡航に特化した乗り物だと言えると思います。